法華経の守護神

第1回目 鬼子母神

最も広く祀られている、日蓮宗のご祈祷本尊

鬼子母神は、古代インド神話に出てくる羅刹(鬼)で、ハーリティーといい、訶利帝母・歓喜母・愛子母などと呼ばれています。

自分の子供だけを愛し、人間の子を食していたハーリティーが、お釈迦様の教化を受けて、自らの過ちに気づいてその罪を悔い、人々の子供を護ろうと決心された説話は有名です。

日蓮聖人が、守護神として尊崇した神々の中で有名なのが鬼子母神 十羅刹女です。

「法華経」陀羅尼品には、鬼子母神 十羅刹女並びに眷属が、「法華経」の行者・信者を守護する誓願を立てられました。

鬼子母神には、鬼形と天女像があります。

鬼形鬼子母神は、祈祷本尊で行者に危害を加えようとする者に対し、畏怖の念を起こさせ行者を守護します。

天女像は、やさしく子供を抱き、安産と子育ての守護神として信仰されています。

このことから、日蓮宗では鬼子母神の信仰が広く行われています。

鬼子母神さまとざくろの関係

鬼子母神が、ざくろの実を持っているのはなぜでしょう。本来ざくろは、子福(子宝)と豊穣をあらわす吉祥果で、500人の子供に恵まれた鬼子母神さまにはふさわしい果です。

”ざくろは人間の味がする”なんて聞いたことありませんか。その昔の悪行を、お釈迦様に諭されて人々を守護すると誓われたはずの鬼子母神さまです。昔の様に、また羅刹(鬼)のような振る舞いをするのであれば、改心したとはいえませんし、お釈迦さまが、「子供のかわりに・・・」とおっしゃるはずがありません。

このような俗信に惑わされないようにしたいものです。