星祭

星祭とは、一年ごとに巡ってくる運命を左右する星を供養し、個人の一年間の幸福を祈り、災いを除くお祭りです。仏教本来の教えではないのですが、仏教が各地に広まる際に、道教や陰陽五行説などの影響を受けつつ、まず迷い多き衆生を救い、仏の教えに導くための方便として釈尊滅後に独自に成立、発展したものです。現在、日蓮宗に限らず、多くの宗派が行っています。

古来、世界の各地で、一切の事象の吉凶は、天体の運行によって予測でき、そして人間の運命もまた、その人が生まれた年や月などの星によって禍福が支配されていると考えられていました。東洋では、その人の運命を支配する星を本命星といいます。本命星には九種類あり、日(太陽)、月、火星、水星、木星、金星、土星という目に見える七つの星と、羅喉星と計都星という架空の二つの星があります。この九つの星は毎年、居場所が変わります。自分の生まれた年に、中央に配置されている星が自分の本命星になります。この位置を観て各人の星をお祀りして除災得幸を祈念します。

日蓮宗では、大聖人が龍口法難の際、月のような光物(月天子)によって難を免れ、翌日に「明星のような大星が下って、梅の木にかかった」ということから、法華経の行者に、月や星の守護が得られると信仰しています。さらに法華経の「諸天は昼夜に衛護す(取意)」等の経文から、星(九星・曜)に願いをかければ、必ず守護があるとしています。

また、星祭の起源としては『中国のある村で、旅の高僧が貧しい村人達から精一杯のもてなしをしていただいた。その心遣いに感動した僧が、村が豊かになるようにひとつの秘法を授けた。冬至の日の夜明けに、空に太陽と月と星(三光)が同時に登っている一瞬を狙って報恩の祈りを捧げれば、望むものが手に入るというものだった。果たして村人達は高僧の言いつけ通りに祭りを実行し、富を得てその後永く栄えた』と言われるものもあります。しかし、冬至の夜明け(標準時で朝の七時頃)にお祭りを営むのは、現実には難しいものがあります。最近では、だいたい冬至の前後、もしくは星の移り変わる旧暦の年の初めである立春・毎年二月四日あたりに行う寺院があります。

また、北辰妙見大菩薩を祭祀し修法する事から十五日に行う寺院もあります。